それで短大の2年生くらいの時かな、耳部というヒップホップとかレゲエとかハードコアパンクが好きな集団がいて、アバンギャルドなものと、その辺にある普遍的なものに対してあまり分け隔てないというか、今まであまり回りにいなかったバランス感覚が良い人達が集まって何かやってたんですね。で、そこに写真家の五十嵐一晴くんって友人が同じ学部にいまして、その五十嵐くんがそのグループを紹介してくれて。その耳部にデザイナーの大原大次郎君がいたり、TOONICEを作る人達だったりがいたんです。その中でもハードコア好きな人とレゲエ、ヒップホップが好きな人というのが何となく2分されてたんです。で、僕はヒップホップとか当時1ミリも聞いたことが無かったから自ずとヒップホップじゃない方、ハードコアとかの方と仲良くなっていって。その時からU.G MANとかBREAKfAST、STRUGGLE FOR PRIDE、羅針盤、ボアダムス、キリヒトとかライブ見に行くようになるんですね。それでハードコアとかの方で岩崎くんて言う、TOONICEを一緒にやってた人からハードコア以外のSUBPOPやMERGE、K、DRUG CITY、Kranky、DOMINOとかKILL ROCK STARとか、レーベルの90年代のアメリカンロックとかオルタナを教えてもらって。で、そういう音楽が自分にしっくりくるんですよ。
何というかポップなんだけど、実験的なサウンドばかりで、出会えて本当に良かったです。その耳部の人等がプレイボーイズムって雑誌を作ってたんですよ。小冊子みたいなファンジン。それはクラブものから漫画や小説や音楽とか全部のメディアのレビューとかいっぱい書いてあって。それが面白いなって思ってそこに5号くらいから参加し始めるんです、映画のレビューとかで。で、その頃からレゲエ、ヒップホップ好きな人と、パンク、ハードコアが好きな人たちとちょっと分かれ始めたんですよね、分かれ始めたっていうかヒップホップとか好きな人達は割りと明るい人達なんですよ(笑)で、ハードコアとか好きな奴らはほんとシャイで(笑)クラブとか行っても隅っこでモジモジしてるみたいな、そういう奴ら(笑)仲悪くなった訳じゃないんだけど、まあ、ちょっと別れたんですよ。それでプレイボーイズムだとチャラいと(笑)だから「俺らは俺らで何かやりたいね」って、岩崎くんって中心人物がいて、その人が多分言い始めたんですよ。で、やろうってことになって作り始めたのがTOONICEっていうファンジンで。"I DRINK MILK"っていうデザイナーの佐藤穣太さんって人がやってたジンがあって、おもしろい人にインタビューしたり、しょうもない内容の記事があったりしながらも内容はもの凄く濃くて、尚かつデザインが洒落てる、もの凄いクオリティが高いものを穣太さん一人でやってて、値段も300円くらいで超安い、超クールなものがあったんですよ。「そういうのやりたいね」みたいな感じがあったような気がします。で、パンク、ハードコアの雑誌を作ろうってことになって当時YOUR SONG IS GOODが始まったばっかりの頃ですかね、その頃、僕は東京いなかったんで知らなかったんですけど岩崎君とかはFRUITYとか好きで。淳くんがユアソング始めた頃、ユアソングが凄いからTOONICEの1号で淳くんのインタビューやろうよ、って事になって。淳君って、当時皆、知る人ぞ知る存在で、超格好良いけどまだメディアが取り扱ってない時代で、誰よりも早くロングインタビューしたんですよ、多分。それが功を奏してかわかんないですけど、何となくTOONICEって雑誌がまあまあ知られるようになって。で、2号でBREAKfASTのギターの酒井くんの取材やろうってことになったんですよ。そのころ身内ノリではあるんですけど、ちょっとずつ外向いてったていう感じだったんすね。そのファンジンはBASE、ALL MAN、NAT、後warszawaとかハードコア扱っているレコ屋に置いてもらってたんです。
1号はフリーだったんで0円。それは学祭で色んな人にタダで配って。
で、それ出してから11月に学祭があるんで「そこで何かイベントやりたいね」って事になってYSIGの取材もしたし、YSIG呼びたいねってなって1号館って何百人も入る教室を1日借りてライブやろうってなって、YSIGを最初に呼ぼうって決めてたからそこを軸に考えて自分等が好きなバンドに声かけていったんですけど、YSIG、BORIS・・BORISはBORISで海外でももの凄く人気があるバンドで、すげ~出てくれるんだ~ってなって。あと9dwとSTRUGGLE FOR PRIDE、SFPは当時、ZKの企画がリキッドであって、それに行って今里くんに直接交渉するっていう(笑)それとTWINKLE。BREAKfASTも出て欲しかったんですけど酒井君がEXCLAIMのアメリカツアーで出れなくて(笑)このイベントは機材の調達から照明、音響から何から何まで自分らでやったような気がします。入場料が500円だったんですけど、200人とかお客さんが来てくれてビックリしました。TOONICE1号はそこで確か配ったんですよねー。初めてそこで配ってからベースとかオールマンとか置いてもらうようになるっていう。それで無料だからフライヤーと一緒に置かれる感じなんですけど、ある日warszawaに行ったら、雨の日で、濡れた廊下にぐっちゃぐちゃにもう(自分達のZINEが)散らばってて(笑)で、それ見て、うわ~これはやだよね、って。で、2号からお金とろうって事になったんです。
当時ファンジンて結構いっぱいあったんですけど「新響」ってTHERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUTって今、Zってバンドいるじゃないですか?Zの人たちが前やってたバンドなんですけど、ゼアイズが出してる「新響」ってZINEが凄くて。内容が本当にもう、哲学にまで飛んじゃうような深い内容でありながら、ポップで。で、俺らのTOONICEより、その「新響」の方が出たの早かったんで、負けないもの作りたいねーって。その頃パンクロックやエモハードコアシーンの中でZINEがブームで。
やっぱり俺らみたいな人見知りで音楽が出来る訳でも無い、やたら内向的なやつらが一杯ZINEを作ってる時期だったんですよ。そん中では、僕ら意外と格好良いことしてるじゃないかっていう(笑)2号くらいで思ってたんですけど(笑)でも、その「新響」っていうZINEが新しいのが出る度に凄くて、、、
その「新響」作ってる人達は僕らより4つ5つ上だったから多分、僕らより先に社会に出てて、仕事が忙しくて、バンドしながら生活するということがどういうものなのか、という衝撃的な内容が沢山あって、僕は学生だったので、漠然とした不安を覚え始めるんですよ。
で、TOONICE2号作った後に卒業したけど当然就職出来なくて。まあ就職活動は結構したんですけど、超有名どころを何個も受けて、NHKとか博報堂、電通、まあ受かる訳ないんですけど(笑)
TOONICE3号が大学卒業してからも出たんですけど俺が地獄のアシスタント仕事してた時期だからちょこっと書いただけです。でもライブとかは仕事忙しかったですけど、行ってましたよ。YSIG、BREAKfAST、SFP、BLUE BEARD,EXCLAIM、ゆらゆら帝国、二階堂和美さん、Place called space、さかな、ふちがみとふなと、もちろんイルさん、ECDさん、等等。TOXIC PUNK WASTEってワタゾウさんがやってた、あの企画に出てるバンドが凄い好きだったので、ワッツが一番多かったんじゃないかな。
で、それくらいの時期にColdplayの「Yellow」って曲のMVを見て。それは砂浜を歩きながら歌って、夜が朝になるだけっていう内容で、それが一発撮りで、凄いなって思ったんですよ。あとで色々てを加えるより、めちゃくちゃ格好良いなって思って。だって夜から朝にかけてって一回しかないじゃないですか?それに全精力をかたむけるっていうビデオで。それから、こういう事出来ないかなって思ってて、流れ流れて2009年になって、the chef cooks meってバンドが、昔から一緒にビデオを作ろうって言っててくれてて。やらせてもらうんですけど、そこで一発撮りの手法を使い始めるんですよ。
準備5時間、リハーサル3時間、撮影1時間みたいな、全員が全力で100m走してるような、MVをやっと作れたんですよね。それが自分なりには転機だったんですよ。これが出来上がってやっと周りの人も「あ、大関できるんだ」って思ってくれたみたいなんですよ。YSIGのモーリスから質感がスゲー良いって言われたのが本当に嬉しかった。それで、2008年の後半からユアソングのDVDを作ってたんですね。これは作り始めてから発売までは1年くらかかってますね。YSIGのDVDは本当に彼らの10年の集大成のドキュメンタリー作品だったので、作れて本当に良かったです。このあたりから悩みとかはそんなになくなって、アイデアをひねり出すのは未だにつらいですけど、それでCOMEBACK MY DAUGHTERSのDVDのライブの方のディレクターをやらせてもらうんですね。CBMDもずっと仲良くて、もの凄い格好良い尊敬するバンドだったんで、ずーと一緒に作品作りたかったので、本当に嬉しかったです。
COMEBACK MY DAUGHTERS「Bored Rigid」
で、YSIG、CBMDのDVDが出来上がって、そこからMV作りが加速するんですよ。その後作ったyour gold, my pinkっていう大阪のバンドも、やらせてもらって、
your gold, my pink「Are you sensitive?」
次にasphalt frustrationていうバンドのMVを年末に作って。
asphalt frustration「money makes the world go around」